行政書士 丸山法務事務所

知的資産経営報告書、知的財産権管理、事業承継プラン作成など各種相談承ります。
RSS Feed

事業承継プラン作成

  昨今、中小企業の経営者の平均年齢が上昇しています。現在は、約57歳です。その一方で、中小企業の経営者の引退予想年齢は約67歳とされています。10年の差しかありません。したがって、会社の今後10年の経営計画を立てる場合に、事業承継対策は必要不可欠の問題と言えます。

 事業承継には、いくつかのパターンがあり、どのパターンを選ぶのが良いかは会社によって異なります。しかし、唯一どこの会社にも共通する点があります。それは、「事業承継は、譲る側から行動を起こす」ということです。

  「終生現役」と言うと格好良く聞こえます。しかし、それは譲る側の満足でしかありません。会社の置かれている状況の詳しい説明を受けずに、後を継ぐことになる後継者は大変です。

 会社を譲った後でも「終生現役」で過ごすことはできます。自分の夢や社会貢献、趣味を生かした生き方などがあります。今までの事業とは違う会社を作り、その会社の社長になって社会に貢献することや、今までの経験を生かして地域に貢献するという生き方も素晴らしいものです。

   

☆後継者を決める前に実行すること

1.会社の現状の把握

 資産、負債、資金繰り、従業員数と年齢、業界内シェア、個人保証、保有自社株式など現在の状況を把握しておきます。

2.関係者との意思疎通

 親族、後継者候補、幹部役員達との意思疎通を図っておきます。これができていないと、後継者が引き継いだ後の揉め事の原因になります。また、金融機関、取引先などの主要な人物にも、意思を伝えておきます。意思を伝えることで、対外的な引き継ぎが行いやすくなります。承継したあとの現社長の処遇、経済的なことも決めておきます。

3.承継方法の選択

 親族、従業員、外部者、M&Aなど自社にもっとも適切な方法を選択します。また、それに伴うメリット・デメリットについても考慮が必要です。候補者の性格や資質などの適性を確認しながら候補者を探していきますが、適当な候補者がいなかったときには、会社売却を考えます。

まず事業承継の時期を決めてそのためには、いつまでに、何をすべきかを詰めていくと事業承継のイメージがはっきりとしてくるのではないでしょうか。円滑な事業承継のためには10年くらいの期間が理想です。

 

☆事業承継のパターン

1.親族が承継する

2.他人が承継する

3.M&A(会社売却)

1.親族が承継する場合のポイント

① まず最初に、後継者本人が継ぐことを承知しているでしょうか?

 そして、他の親族も賛成しているでしょうか。親の会社だから息子が継ぐとは限らない時代です。また、親族内で後継者争いはないでしょうか?この点を整理しておかないと、兄弟が争う、親族が不仲になるなどの原因になります。

 息子であっても誰であっても、会社を継ぐということは、後継者にならなかったら送れたであろう人生を放棄することです。どちらが良いかは誰にも分かりません。だからこそ、お互いに心の中に思っていることを相手に伝える努力が必要です。お互いに納得の上で後継者を選びます。その際には、他の親族、特に同位の法定相続人がいる場合は、相続人の間で不公平のないように配慮が必要です。

② 後継者が決まったら、現社長の理念を後継者に伝えましょう。

 後継者は、事業だけではなく価値観も承継します。価値観の共有は、事業承継を支える重要な柱の一つであり、後継者が歩む際の杖の役目も果たします。ただ、すべての価値観が後継者に承継されるわけではありません。時代の要請や気質・能力・環境の違いにより価値観は常に変化します。後継者は、時間をかけてそれらを取捨選択していきます。会社を譲った後は、温かく見守っていかなければなりません。

 事業を承継するまでは、後継者への教育と同時に、幹部役員・取引先・金融機関への根回しや株式の譲渡、後継者以外の相続人がいる場合には、相続財産の配慮などを進めていく必要があります。相続時の節税対策も一緒に考えるならば、10年ほどの時間がかかることもあります。現社長の年齢が50代後半なら一刻も早く事業承継のプラン作成に着手されることをお勧めします。

2.他人が承継する場合のポイント

 従業員が承継する場合と、社外の者が承継する場合があります。

① 他人が事業を承継する場合は、親族以外を対象者として広く候補者を探せるというメリットがある反面、後継者候補に株式取得の資金力があるか否かというデメリットがあります。また、後継者候補が社外の人物の場合は、社内で反発が出ないよう配慮が必要です。

 時間をかけて、後継者としてふさわしいか、この後継者で社内をまとめられるかを観察していきます。

② 従業員が承継する場合でも、金融機関や取引先への根回しなどに時間がかかります。関係者の理解を得るのに、親族内承継より時間がかかることが良くあります。特に、一時的な中継ぎとして承継する場合は、後を継ぐ従業員との意思の疎通が重要になってきます。親族内の理解を得ることも大切です。

③ 後継者教育を行います。現経営者の理念もちゃんと伝えます。経営者になると自身で思っていなかった人間が承継する場合は、特に後継者教育が重要です。

④ 事業承継の前に、できるだけ債務を減らしておきます。

⑤ 現経営者の親族に財産権を残し、後継者に一定程度の株式を集めるなど、財産と経営権の分離を図ります。

3.M&A(会社売却)の場合のポイント

 親族や従業員などに後継者がいない場合は、M&Aで会社を売却します。

① 秘密を関係者(役員、従業員、取引先など)に漏らさない。

② 専門の仲介機関に相談する。

③ 条件、希望金額などを早めに仲介機関に伝える。

④ デューデリジェンスには、誠実に対応する。

  • ※デューデリジェンス:買手側が行う売り手企業の精査。弁護士、公認会計士等専門家に依頼して、法務、財務、事業等多方面から調べます。

⑤ オーナーと企業の資産等の線引きを明確にする。

⑥ 会社業績の改善、支出の削減、不要資産の売却などによる財務諸表のスリム化、社内マニュアル、規定の整備をする。

 

 ※日常業務が忙しく気になっていても、着手できていない経営者様へ

事業承継は思っていらっしゃるより大切で、大変なことです、京都の有名なかばんやさんみたいなことにもなりかねません。そして時間もかかります。うまく行かないと会社の存亡に拘わってくることもあります。できることから手をつけましょう。まずバトンタッチの時期を決めましょう。すると逆算して今なにをすべきかが見えてきます。それでもお困りなら、まずはメールや電話などでご相談下さい。相談(1回)は無料です。大きな時間割をご一緒に作りましょう。他者に話をするだけでも、考えが整理される事があります。当事務所はM&Aの専門機関とタイアップしています。(売却価格の下限があります。詳しくはご相談下さい。)

ご相談はこちら

 

 

 行政書士には、法律によって守秘義務が課されています。業務上知り得た秘密を行政書士登録中はもちろん、行政書士でなくなった後も漏らしてはいけないとされています。